30 September 2006

企業内PC

現代社会におけるパソコン、それも企業内で毎日使用されるパソコンは、人類の歴史上始めて個人が企業活動のために使用するコンピュータである。
この道具により、個人の能力は飛躍的に増大したはずである。 その効果に関しては、驚異的にもかかわらずあまり統計としては見当たらない。
個 人が朝会社に来て、それぞれのパソコンの起動ボタンを押した時から、業務終了時にシャットダウンを行うまで、その人がパソコンを使って行った活動に関して は、まだほとんどの企業が把握できていないからだと考えている。 インターネットを使用して世界中のありとあらゆる情報を閲覧し、電子メールを使って社 内・社外を問わずあらゆる人とコンタクトが取れるし、一昔前なら大きなホストコンピュータでしか出来なかった膨大な数の計算やデータを扱う事が可能である にも関わらす、個人がパソコンを使ってその日何をしたか詳細な事柄は会社で掌握できていないのである。 パソコンが企業に導入される前であれば、使用電話 をすれば周りの上司や同僚にすぐに分かるし、会社の就業時間中に雑誌を読んでいれば、当然上司に注意される。 これが今では、ディスプレイと言うついたて を立て、仕事をしているような顔をして黙ってパソコンに向かえば出来てしまうのである。 パソコンに関しては、周囲の眼と言う抑止力が効かない様である。
  パソコンが安価になり、全従業員にいきわたり、どの会社でも最低従業員の数だけパソコンがあるのが当たり前である。 この事も問題となってきている。 パ ソコンまでが登場するまでは、会社が資産管理を行わなければならないほど高価な備品を全ての従業員に貸与することはなかったと思う。
思い当たると すれば、電話機ぐらいであるが、パソコンほど高価ではなく、電話機は電話機としてしか使用できないし、線が繋がっているので誰もそれを外して移動させるこ ともほとんどない。 電話機が全従業員に行き渡っている会社でも電話機が管理できない問題は聞いた事がない。 それがなぜパソコンとなると何故こうも問題 となってくるのか。
 まずは、数の多さである。 数台であれば問題ないのだが、ちょっとした会社で何千台もパソコンが社内に存在する。
正 確な数は、使用者は、部署は、インストールされているソフトウェアは・・・、と次々に質問が湧いてくるのだが、まず物理的な資産の観点から見ていくことに する。 企業にとっては、課税対象となるべき固定資産であるパソコンが社内に散在している。 今では、ノート型が主流なのでたいてい個人の引き出しに入っ ていたりする。企業会計の面から見て、正確な台数が把握できていないと言うのは、減価償却計算が正確に出来ないということであり、企業会計が完璧ではない ことを意味する。 また、インストールされているソフトウェアにはライセンスがあり、それが把握できていないのは法律違反でもあり、企業倫理を大きく問わ れる点である。 ソフトウェアメーカーからライセンス違反で訴えられるのが最も怖い。 使用者・部署というのは企業会計から取り扱う場合はそれ程大きな問 題ではなく、どのビルのどのフロア程度でも社内資産管理からすると許される。 パソコンの使用者・部署を管理するのは、運用維持・セキュリティの観点から である。
 次に問題なのは、パソコン内で取り扱われるものに関してである。 今までは会社の中に紙でしか存在しなかったものが個々のパソコンの中 に存在してしまっている。 パソコン内では単なるファイルで存在しているわけであるが、扱える量が今までとは桁違いに多い。 今のパソコンには何十GBの HDDがついているので、1億人のデータ(一人当たり200バイト、1億人だと20GB程度)でも保存可能である。 どんな情報が保存されているか、紙と 違ってパソコンの内部は直接眼で見ることは出来ない。
 それと何の造作もなく複製できてしまう事、また今ではLANに繋がっているのでネットワー クを使って社内の他のパソコン、あるいはインターネットを使って社外に移動させる事が誰でも可能である。 また、近年メモリが安くなった事からUSBメモ リが何千円と言う価格で個人の手に入る。 MP3プレイヤー全盛でますますメモリの価格は下がってきている。 非常に便利なのだが、この手のひらに収まっ てしまう大きさの記憶デバイスを個人が自由に使えることが企業にとっては脅威となっている。
 ここで、考えなければならないのはUSBメモリをパソコンにさすのはパソコン自身ではなく、人である。
人の行為がなければ、例えどんなに超小型で大容量の記憶デバイスであっても、それは脅威とはならない。

パ ソコンと言う箱の中で人が行っている行為それは即ちITシステムの中で人が起こす事象、それをいかに見えるようにしていくか、それも1台ではなく全てのパ ソコンで見えるようにしていく事が必要である。 また、全てのパソコンで行われている全ての使用者の行為について企業の管理者から透過的に見えるように なったとしてもその中で企業にとってリスクのある行為を抽出するのが問題である。 誰がどのような業務に携わっているのかを知らなければ、その判断が出来 ないからである。 この問題を広げていくと社内における業務プロセスの可視化や効率化・統制に繋がっていき、BPM (business process management)の話になる。

人がパソコンの中で扱うのは情報そのものである。 全く1から作ることもあれば、ど こからか流れて来た情報を扱う場合もある。 今この文章はOffice Wordを使って書いているので、パソコン内で全く新規に情報を作成していること になる。 インターネット上から言葉を持ってきてコピー&ペーストしている部分もあるので、その部分は外部から来た情報を加工して使用していることにな る。

パソコンは、企業内情報の出入り口となっており。 情報を生成、もしくは最終的に使用するポイントとなっている。 パソコンは、企業 内情報の出入り口となっており。 情報を生成、もしくは最終的に使用するポイントとなっている。 パソコンを取り巻く環境でその情報の流れをコントロール する事も重要である。 そのパソコンはどのような情報に触れることが出来るのか、またどのような情報が流れ着いているのかを1台1台もしくは、ある程度の グルーピングを行い管理する必要がある。

28 September 2006